良い塩とは?天然塩やミネラル塩の違いと正しい選び方
- 7月16日
- 読了時間: 7分
健康や美容に関心がある人の間で、「精製塩は身体に悪い」「天然塩や岩塩はミネラルが豊富で身体によい」といった話を耳にすることがあります。
実際に、塩によって含まれる成分や味には違いがあります。しかし、天然塩であればいくら摂ってもよいわけではなく、塩だけで必要なミネラルを補えるわけでもありません。
今回は、塩の役割や種類、ミネラルとの関係、日常での正しい選び方について解説します。

塩は身体に必要なもの
塩に多く含まれるナトリウムは、生命維持に欠かせないミネラルです。
ナトリウムには、体内の水分量を調節する、神経の情報を伝える、筋肉の収縮を助けるといった重要な働きがあります。
そのため、塩を完全に避ける必要はありません。特に、長時間の運動や暑い環境で大量に汗をかいた場合は、水分とともにナトリウムも失われます。
トレーニングをしている人が極端な減塩をすると、力が出にくい、身体がだるい、筋肉がつりやすいなどの問題につながる可能性があります。
一方、日本では通常の食生活でナトリウムが不足する可能性は低く、生活習慣病予防の観点では摂りすぎに注意することが重視されています。厚生労働省の食事摂取基準でも、ナトリウムは不足より過剰摂取が課題とされています。
精製塩、海塩、岩塩の違い
精製塩
塩化ナトリウムの純度が高く、粒や味が均一な塩です。料理の味を安定させやすく、価格も比較的安いことが特徴です。
「精製されているから危険」というわけではありません。主成分が明確で、一定量を計りやすいというメリットもあります。
文部科学省の食品成分データベースでは、一般的な「食塩」は塩化ナトリウム含有量99%以上、精製塩は99.5%以上とされています。
海塩
海水を濃縮・結晶化して作られる塩です。製造方法によって、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどが残ることがあります。
にがり成分による苦味やコクがあり、塩味が比較的まろやかに感じられる商品もあります。
ただし、すべての海塩がミネラル豊富とは限りません。製造工程や商品によって成分は大きく異なります。
岩塩
古代の海水などが結晶化してできた塩の層から採掘されます。ピンク色や赤色をした岩塩は、鉄などの微量成分によって色がついています。
色が濃いほど健康効果が高いという根拠はありません。また、岩塩は採掘する層によっては塩化ナトリウム純度が高く、海塩よりマグネシウムやカリウムが少ない場合もあります。塩の成分は、名称や色ではなく栄養成分表示で確認することが大切です。
藻塩
海水に海藻の成分を加えるなどして作られる塩です。商品によっては、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどを比較的多く含みます。
海藻由来の風味やうま味があり、焼き魚やおにぎりなど、素材の味を生かした料理と相性がよい塩です。
「ミネラルが多い塩」は身体によい?
天然塩や藻塩には、精製塩より多くのミネラルが含まれている商品があります。
しかし、塩は一度に数グラム程度しか使用しません。そのため、パッケージ上ではマグネシウムなどが多く見えても、実際に一食で摂れる量は限定的です。
例えば、塩100グラムにマグネシウムが1,000ミリグラム含まれていたとしても、塩を1グラム使った場合に摂れるマグネシウムは約10ミリグラムです。
つまり、ミネラルを摂る目的で塩を増やすのは効率的ではありません。むしろナトリウムの摂取量が増えてしまいます。
マグネシウムやカリウム、カルシウムを補いたい場合は、次のような食品から摂る方が現実的です。
マグネシウムは、大豆製品、ナッツ、海藻、玄米など。
カリウムは、野菜、果物、芋類、豆類など。
カルシウムは、乳製品、小魚、大豆製品、青菜などから摂取できます。
塩はミネラル補給食品ではなく、あくまで調味料として考えるのがよいでしょう。
良い塩なら摂りすぎても大丈夫?
塩の種類にかかわらず、主成分はナトリウムです。
天然塩やピンクソルトであっても、摂りすぎればナトリウム摂取量が増えます。過剰なナトリウム摂取は血圧上昇などと関連するため、「天然塩だから量を気にしなくてよい」という考え方はおすすめできません。
WHOは成人のナトリウム摂取量を1日2,000ミリグラム未満、食塩換算で5グラム未満とすることを推奨しています。
日本の目標量は、日本人の現在の摂取状況なども考慮して設定されており、WHOの基準とは異なります。ただし、どちらも「塩の種類を変えるだけでなく、総摂取量を管理することが大切」という点は同じです。
トレーニングをする人は塩を増やすべき?

日常的に激しい運動をしている人や、暑い環境で大量に汗をかく人は、一般的なデスクワーカーよりナトリウムの損失量が多くなることがあります。
ただし、汗の量やナトリウム濃度には大きな個人差があります。そのため、「筋トレをしているから毎日塩を多く摂る」と一律に考えるのは適切ではありません。
短時間の通常トレーニングで、普段の食事をしっかり摂っている場合は、水だけで問題ないケースも多くあります。
一方、長時間のトレーニング、真夏の屋外運動、大量発汗、連日二部練習などでは、水分だけでなく電解質を含む飲料や食事が必要になることがあります。
大会前の水分・塩分調整については、極端に抜いたり急激に増やしたりすると、体調やパフォーマンスを崩す可能性があります。見た目だけを目的に、自己流で大幅な操作を行うのは避けた方が安全です。
良い塩を選ぶ4つのポイント
1.栄養成分表示を見る
「天然」「ミネラル豊富」という言葉だけで判断せず、食塩相当量、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどを確認しましょう。
塩の成分は商品ごとに違います。
2.料理との相性で選ぶ
塩化ナトリウム純度の高い塩は、すっきりした強い塩味になりやすく、ミネラルを含む塩は、苦味やコク、丸みを感じることがあります。
肉、魚、おにぎり、スープなど、料理によって使い分けるのもおすすめです。
3.価格と健康効果を混同しない
価格が高い塩ほど健康効果が高いとは限りません。
産地、製法、希少性、輸送コストなどによって価格が上がっている商品もあります。
4.使用量を把握する
塩そのものだけでなく、醤油、味噌、ドレッシング、加工肉、漬物、麺類のスープなどにも塩分は含まれています。
ナトリウム量しか表示されていない場合は、ナトリウム1グラムがおよそ食塩2.54グラムに相当します。
まとめ
塩は、体内の水分調節や神経伝達、筋肉の収縮に必要な栄養素です。その一方で、通常の日本人の食生活では不足よりも過剰摂取に注意する必要があります。
海塩、岩塩、藻塩などには、商品によってマグネシウムやカリウムなどが含まれています。しかし、塩だけで必要なミネラルを十分に補うことは難しく、天然塩であっても摂りすぎればナトリウム摂取量は増えます。
良い塩とは、特別な健康効果を持つ塩ではありません。
成分を理解し、料理をおいしくしながら適量を使える塩が、自分にとっての良い塩です。
ミネラルは塩だけに頼らず、野菜、果物、海藻、豆類、魚、乳製品などを含む食事全体から摂っていきましょう。
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